秋冬シーズンのスタイリングに溶け込む新色!
1970年代、アメリカでは健康志向の高まりと共に空前のランニングブームが巻き起こっていた。まだオレゴン州の小さな企業であった"NIKE(ナイキ)"にとって、それは大きな追い風となった。その渦中、ブランドの共同創業者であり、オレゴン大学の伝説的な陸上コーチであった"BILL BOWERMAN(ビル・バウワーマン)"は、アスリートのパフォーマンスを向上させるという純粋な情熱から、一足の革新的なシューズの開発に乗り出す。
彼がタッグを組んだのは、足専門医のD.R.ヴィクター。目指したのは、「1年間で1000マイル走れる」ほどの耐久性と、ランナーを故障から守る機能性の両立であった。こうして1976年に誕生したのが、"LONG DISTANCE"を意味する"LD-1000"である。軽量なナイロンアッパーにスウェードの補強、そして最大の特徴は、踵部分を厚くし、外側に広げた"フレア状ミッドソール"であった。これは、当時多くのランナーが悩まされていた、着地時の足の過度な内側への倒れ込みを防ぐための画期的な設計であった。
しかし、この挑戦的な設計は諸刃の剣であった。正しいフォームで走るランナーには絶大な効果を発揮した一方、一部のランナーにとっては逆に膝への負担を増大させる可能性が浮上。新興ブランドであったナイキは、製品のリコールという苦渋の決断を下す。だが、この誠実で迅速な対応は、皮肉にもランニングコミュニティからの信頼を勝ち取る結果となった。ナイキの革新を恐れない姿勢と顧客への真摯な向き合い方を象徴する一足として、"LD-1000"はその名を歴史に刻んだのである。
最新作は、秋冬のスタイリングに深みを与えるカーゴカーキで登場。つま先やアイステイ、ヒールには、ワントーン濃いセコイアカラーのスウェードを重ねて立体感を演出。サイドを飾る大ぶりのスウッシュにはクリーンなホワイトレザーを、フレア状のミッドソールにはヴィンテージ感を醸すクリーム色を、そしてワッフルソールにはグレーを配置。落ち着いたカラーパレットと豊かな素材感が、クラシックなデザインと見事に調和した一足である。
日本国内では2025年9月12日にナイキ取扱店にて発売予定。価格は14,630円 (税込)。また新たな情報が入り次第、スニーカーウォーズのXやFacebookなどで報告したい。